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ラカードは、ベルリン在住のジャーナリスト梶村太一、道子ご夫妻からお借りしました。ご夫妻は元日本軍性奴隷である女性の顔写真を複数お持ちですが、私が
お借りしたのは、オランダ人の犠牲者で、現在はオーストラリアのアデレード市にお住いのジャン・ラフ・オハーンさんと、同じくオランダ人犠牲者のエレン・
ヴァン・デア・プルーグさん(2013年死去)の写真、そしてそのそれぞれの写真の裏側に「Justice for the
Victims of the Sexual Slavery by the Japanese Military(日本軍性奴隷の犠牲者に正義を)」と書かれたプラカードです。
私がプラカードを持って立っていると、一
台の公用車が突然大使館前に到着しました。堅く閉じられた鉄門が自動的に開いたのですが、車はすぐには中に入らず、開いた門の前で一旦停車し、運転してい
た大使館員と思える男性が私の方をじっと見つめました。そこで私は、持っていたプラカードを彼に向けて見せると、彼はしばらくプラカードを見つめたあと、「またか....」というような苦々しい顔をしてうなずき大使館の中に車を入れていきました。ベルリン大使館前ではこれまでも多くの方たちが一人デモ
をやっているので、大使館員としては慣れているようです。梶村さんの説明によると、二人以上でデモをやると「集団デモ」ということになり、大使館は警察官
を呼んでデモ参加者を大使館前から立ち退かせることができるとのこと。
ちなみに、日本大使館前の通りは「Hiroshima Strasse (ヒロシマ通り)」と呼ばれており、ここでも「ヒロシマ」が「日本戦争被害国」のイメージを普及するために政治的に大いに利用されています。