2024年9月24日火曜日

オンライン ZOOM ウェビナー

「平和の碑」が広げつなぐメッセージ 女性の尊厳と人権 

~メルボルンとベルリンを結んで~

 

メルボルンの「平和の碑」

 

 

 

ベルリンの「平和の碑」
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日時:

2024/10/26(土) 17001930(日本) 10001230(独) 19002130(豪)

 

199218日、日本軍「慰安婦」問題解決のための水曜デモが、ここ日本大使館前ではじまった。20111214日、1000回を迎えるにあたり、その崇高な精神と歴史を引き継ぐため、ここに「平和の碑」を建立する】 (ソウル在韓日本大使館前に設置された「平和の碑」碑文より)

現在「平和の碑」は韓国内146個、韓国以外33個(正義連2023活動報告書より)に広がっている。設置の目的にはその地の市民や学生の女性の人権と尊厳、平和への願いなどさまざまな思いが込められている。日本政府が外務省の在外公館活動として、「平和の碑」設置が分かると、妨害と撤去の圧力を管轄の行政機関にかけることを世界各地で展開している。しかし、世界の市民は、日本軍性奴隷制問題をなかったことにさせない、サバイバーが願った戦争と暴力のない社会の実現をめざし、世界的に連帯し活動している。今回、オーストラリア・メルボルンでの碑設置までとその後の「メルボルン『慰安婦』友の会FCWM」の活動、ベルリン・ミッテ区での設置存続を巡る活動を現地から報告していただき、「平和の碑」が広げつなぐメッセージを共有したいと企画した。私たちは決して黙らない。日本軍性奴隷制の歴史事実の抹殺に抗し、記憶し続けるために声を上げる。

 

講演タイトルと講演者:

 

~メルボルン「平和の碑」が訴えるメッセージ~

《メルボルン》 クリスティーン・キムさん

メルボルンで「慰安婦」問題をめぐって、2016年に結成した平和、教育、正義を推進する人権団体「メルボルン『慰安婦』友の会 _FCWM」の事務局長。 モナシュ大学顧問弁護士、法学博士

 

~「アリはミッテ区の一部だ!」 干渉を許さない住民たちの抵抗~

《ベルリン》 梶村道子さん

1975年以来ベルリン在住。1992年にベルリン女の会と韓国女性グループとともに「慰安婦」問題に取り組んで現在に至る。ベルリン・ミッテ区の「平和の像」設置を、ミッテ区住人として傍でみてきた。共訳著にクリスタ・パウル著『ナチズムと強制売春。強制収容所特別棟の女性たち』(明石書店、1996

 

ベルリンミッテ区の碑設置から2024/9.19までの経緯

2020.9.28設置 区は1年間の設置許可

10.7 区が認可取り消し1週間以内の撤去命令

区の進歩的3政党、コリア協議会、市民組織・個人が区に抗議

11.5 区議会が碑の設置支持宣言採択

12.1 区議会が碑の恒久設置要求決議

2022.11 新区長が、2年の認可延長を表明

2022.5.11 岸田首相、来日したショルツ首相に撤去要請

2024.5.16 カイ・ベーグナーベルリン市長、上川外相と会談

2024.7.19 区長がコリア協議会に9.28までに撤去しなければ過料を課すと告げる

コリア協議会、設置存続を求める署名や要請に取り組む

9.19 区議会は像の設置継続を求める動議を賛成多数で採択

 

オンライン・ZOOMウェビナ― ※録画配信あります。

参加費:1000 _(学生・障がい者無料) 言語:日本語・英語

申し込みフォーム:https://forms.gle/bPSwPEwiNGEBXuU37

申し込み締め切り:1022日(火)24

入金方法など詳細は申込後にお知らせします。

 

主催:

日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク 共同代表:足立修一・田中利幸・土井桂子

連絡先:090-3632-1410(土井) E-mailianfnet.hiroshima@gmail.com

 


2024年9月16日月曜日

「マルタ」と「ロームシャ」を鎮魂する 詩

 そのほか2つの案内

今月6日〜8日にドイツのベルリン自由大学で開催された Japanese Military Violence During the Asia-Pacific War (アジア・太平洋戦争期の日本軍暴力)と題された国際学会に招かれて講演を行いました。定年退職して10年近く経ち、もっぱら現役の大学教員が出席する国際学会に出席することが私にはほとんどなくなったため、本当に久しぶりの学会出席でした。そのため、老齢歴史家として恥ずかしくないような内容の講演となるよう、いつもよりかなり周到な準備をして講義ノートを作成しました。予想した通り、参加者の中で私が最高齢か2番目に高齢でした。私のような高齢者(自分では決して高齢者とは思っておらず、まだまだ若いつもりなのですが<苦笑>)をよく招待してくれたと、たいへん光栄に思いました。

 

しかし全部で20人ほどの研究発表者(ほとんどが欧米、イスラエルと豪州の大学教員で、アジア人はほんの数名)の発表内容を聴いて、正直、私はがっかりしました。一言でいえば、研究内容が非常に劣化しているという印象でした。批判的分析が非常に少なく、単なる事実の浅薄な紹介・解説に終わっているのがほとんどです。なぜこうなるのか ― その重大な理由の一つは、おそらく、彼/彼女たちの研究目的からは、軍暴力の被害者の「痛み」をどのように且ついかに深く理解し、「痛み」を与えた者にいかなる「責任」があり、その「責任」をいかに追求するか、ということがスッポリと抜け落ちているからだろうと思います。したがって、研究発表を聴いていても、無味乾燥で、全く私の心に響いてこないのです。戦争暴力・戦争犯罪の研究が、なぜこんな状況になってしまったのでしょうか……

 

この学会の内容について、詳しくは後日、このブログで報告しますが、今回は3つほど情報の紹介です。まず1つ目は、その日本の戦争犯罪の代表的なケースである、731部隊による人体実験のマルタと呼ばれた被害者と、インドネシアのロームシャ(労務者=強制労働の被害者)をテーマにした絵画と詩、音楽の見事な共演を企画し演じられた、私の研究上の大先輩である、慶應大学名誉教授の松村高夫氏の Youtube を紹介いたします。「ロームシャ」はとくに、日本軍の混合予防ワクチンの人体実験の被害者となったインドネシア人ロームシャを取り上げています。

 

1)「マルタ」と「ロームシャ」を鎮魂する 詩

Requiem for Maruta and Romusha Reading.

https://youtu.be/N15IAb2fmvg

英語のサブタイトルが付けられていますので、海外の視聴者にも情報拡散ができます。

 

(混合予防ワクチンの人体実験の被害者となったロームシャについては、http://yjtanaka.blogspot.com/2021/08/blog-post.html もご参照ください)

 

 

2)Hihukusho ラジオ 第100回(トーク「広島を斬る!」:宮崎園子/ フリージャーナリスト×田中利幸/ 歴史評論家) 2024830

https://www.youtube.com/watch?v=upqZxEWqU3I&t=2780s

 

このラジオ番組は2020年6月から、広島市内にある旧陸軍被服支廠の建物をいかに広島の反核・反戦・平和運動に活用すべきかを議論する場として、広島文学資料保全の会・代表の土屋時子さんが始められたものです。土屋さんの広島を変革したいという熱い想いで続けられてきたこの番組は、今年8月末で100回目の放送となりました。広島には住んでいない私のような者が、広島の現状にひじょうに詳しいジャーナリストの宮崎さんから一方的に質問を受けるというおかしなインタビューになってしまいました。本当は、私の方が宮崎さんに訊きたいことがたくさんあったのですが……。ドイツへの出張を控えてあわただしくしていたため、たいへん恥ずかしながら準備不足で、実にたどたどしい受け答えとなっています、なにとぞご寛容のほど。

 

3)講演案内

この講演は「念仏者九条の会」と「非戦平和を願う真宗門徒の会」の日本全国20ヶ所の寺院をZOOMでつないで行われるようですが、一般の市民の方たちのオンライン参加も受け付けられているとのことです。詳細は下記の案内書をご覧ください。

今、念仏者として、憲法九条をどう伝えるか

〜拮抗する「戦後国家の三原則」の急速なバランスの崩れの中で〜

 

20241021() 13:3016:15

 

* 基調講演

テーマ自滅の闇穴に陥没しつつある日本の変革は可能か?

―「過去の克服」を失敗に終わらせた「戦後国家三原理」の矛盾から考える ―

 

*講師 田中利幸さん

 

※田中利幸さんにはZOOMで講演頂きます

略歴  田中利幸さん  歴史学者(専攻は戦争犯罪史、戦争史)

広島市立大学など国内外の多数の大学に教授として在籍。

日本語の著書に『検証「戦後民主主義」 わたしたちはなぜ戦争責任問題を解決できないのか』(三一書房)、『空の戦争史』(講談社現代新書)、『知られざる戦争犯罪』(大月書店)、共著に『原発とヒロシマ「原子力平和利用の真相」』 (岩波ブックレット)。編著に『戦争犯罪の構造』(大月書店)、共編著に『再論 東京裁判』(大月書店)。翻訳書にジョン・ダワー著 『アメリカ 暴力の世紀: 第二次大戦以降の戦争とテロ』(岩波書店)、ハワード・ジン著『テロリズムと戦争』(大月書店)などがある。

 

*問題提起

*テーマ  今の本願寺教団は再び戦争協力という過ちを犯さないか?

-国家、親鸞思想、門主制という「本願寺教団の論理」から考える-

*提案者  小武正教 浄土真宗本願寺派 西善寺住職

 

今日本は、何によって動かされ、何処にいこうとしているのか。戦後日本を動かしてきたのは、「アメリカのグローバル覇権主義」「憲法の非武装平和・民主・人権原理」「戦前の日本帝国を継承する原理」という「三原則」であり、今そのバランスが崩れ、日本の国の形は大きく変わろうとしている。それは一言でいえば「戦争する国」になるということである。そして本願寺教団もそれに呼応・先取りするかのように、組織の在り方を変えてきているように思われる。私たち本願寺教団が、再び「戦争協力」という過ちをおかさないために、今何を見据えて、何をどう伝えていくべきなのか共に考える場になればと思います。

 

*参加協力  500

オンライン(ZOOM) 必ずメールで申し込みをお願いします(事務局からの返信にて受付とします)

念仏者九条の会事務局  小武正教 odake@orange.ocn.ne.jp :080-5233-3429

主催  念仏者九条の会  非戦平和を願う真宗門徒の会

 


 


2024年8月2日金曜日

Open Letter of Protest against the Mayor of Berlin and the District Director of Mitte

ベルリン市長とミッテ区長に対する公開抗議状

 

日本語版は英語版の後をご覧ください。

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Der Regierende Bürgermeister von Berlin
- Senatskanzlei -
Mr. Kai Wegner 

Jüdenstraße 1
10178 Berlin
Germany

 

Bezirksbürgermeisterin von Bezirk-Mitte

Ms. Stefanie Remlinger

Mathilde-Jacob-Platz 1
10551 Berlin

Germany

 

Dear Mr. Kai Wegner and Ms. Stefanie Remlinger,

 

You, Mr. Kai Wegner, Mayor of Berlin, visited Japan in May this year and met with the Japanese Foreign Minister, Yoko Kamikawa, in Tokyo. According to media reports, during this meeting you stated that you were “in favor of monuments against violence against women, but they should not be one-sided expressions” and that “it is important to make a change.” There were reports of speculation that you made this statement with the intention of removing the “Statue of Peace” (the so-called “Statue of a Girl”) in the Mitte District.

 

Shortly after Mayor Wegner’s return to Germany, it was reported that you, Ms. Remlinger, the District Director of Mitte, had informed the Education and Culture Committee of the Mitte District Council that you planned to remove the Statue of Peace in September. This was exactly what many citizens of Berlin who have worked hard to install and maintain the Statue of Peace were speculating and worrying about, and many other citizens of Korea, Japan and the rest of the world who support the activities of German fellow citizens in Berlin were also afraid. On 19 July, you, Ms. Remlinger, met with the Korean-German citizens’ group, the Korea Verband, which had erected the statue, and told them that if they did not remove the statue by 28 September, the date on which the statue’s installation permit expires, you would continue to fine them until they did so. According to media reports, Mr. Wegner and you also said that you had a plan to install a symbol of remembrance for all victims of wartime sexual violence in Mitte by April next year.

 

We assume that behind this sudden change by the City of Berlin and the Mitte District, you both have finally succumbed to political pressure from the Japanese government, which has repeatedly demanded that the German government and the Mitte District remove the Statue of Peace, claiming that it is “not based on historical facts.”

 

We will not go into detail about the historical facts of Japanese military sex slavery, as it is a long story. However, one important point should be made. This is that, on 4 August 1993, the then Japanese government (Kiichi Miyazawa’s cabinet) published the results of a comprehensive investigation into the issue, in which it clearly acknowledged that the Japanese military and government were directly involved in the establishment of the sex slave station, the so-called “comfort stations,” and at the same time, the then Chief Cabinet Secretary, Yohei Kono, in his statement (the so-called Kono Report), clearly acknowledged the responsibility of the Japanese government. The investigation referred to a total of more than 260 documents confirming the fact of the forced sexual enslavement of women, including the records of the Batavia Tribunal, a war crimes trial conducted by the Netherlands in 1948, and other relevant reports prepared by the US military during the war, as well as interviews with 16 actual female victims and some 15 people involved in running the “military comfort station.”

 

However, from the beginning of 2014, then Prime Minister Shinzo Abe had LDP lawmakers who were supporters of Abe make strong demands for a review of the Kono Statement, and on 20 June that year a report on the findings of the Review Committee, History of the exchange between Japan and South Korea over the comfort women issue: from the Kono Statement creation to the Asian Women's Fund, was released. However, the Review Committee did not investigate or examine the key documents used to draft the Kono Statement. Instead, the Review Committee’s report was drafted with the malicious political intention of creating the impression both at home and abroad that the Kono Statement was created in response to a strong, unilateral demand from South Korea, reluctantly acknowledging the existence of forced sexual slavery after being forced to accept the South Koreans’ strong unilateral demand.

 

This distortion of history has since been inherited by the Japanese government and is now being continued by the current Kishida administration. In short, the Japanese government has been blatantly lying to the world about the “historical facts” of Japanese military sexual slavery for the past decade, and has shamelessly pressured foreign governments to accept these lies.

 

There are around 30 “Statues of Peace” - with different names such as “girl statues,” “comfort women memorials” and “peace monuments” - all linked to Japanese military sexual slavery, which have been erected around the world. The Statues of Peace began to be erected abroad, starting with the installation of one in front of the public library in Glendale City Park in California, USA, in 2013. However, systematic obstruction by the Japanese government and embassies based on false claims has led to the removal of the Statues of Peace erected in countries around the world. The Girl Statue installed at the Women’s House in San Pedro City, Philippines, on 28 December 2018 was removed in just two days due to Japanese diplomatic pressure.

 

Despite this continued obstruction by the Japanese government, a Statue of Peace symbolizing the victims of Japanese military sexual slavery was installed on the seafront in the town of Stintino on the picturesque Italian island of Sardinia on 22 June this year. The inscription on the statue reads in Korean, Italian and English: “It is very unfortunate that the Japanese government continues to deny the existence of ‘comfort women’ and is pursuing attempts to remove the Statue of Peace in many countries, including Germany and the Philippines.” Ms. Rita Vallebella, the Mayor of Stintino reportedly told a local newspaper that she was “proud to accept the statue of the girl as a universal symbol of the fight against crimes against women, both in times of peace and war.” (emphasis added)

 

In other words, the mayor of Stintino, the members of the city council who approved the installation of the statue, and the State Agency for Cultural Heritage, which officially registered the statue as a cultural asset, clearly see the Statue of Peace in a chimachogori (Korean traditional dress) not only as a representative of Korean victims, but as a “universal symbol of the fight against crimes against women.” Why do they have such an understanding, unlike you two, the Mayor of Berlin and the District Director of Mitte?

 

In considering the reasons for this, it is necessary to understand the very specific nature of Japanese military sex slavery, although the violent sexual exploitation of women by the military is indeed a universal problem found in many parts of the world and throughout history. However, in the case of Japanese military sex slavery, there are the following five special features compared to military-controlled prostitution or sex slavery in other countries:

 

(1) Geographical extent (throughout Asia and the Pacific, very specific in terms of the length of distances women were moved. It is comparable to the distance black slaves were moved from different parts of Africa to the Americas).

(2) The sheer number of women who were sexually exploited (estimated at between 80,000 and 100,000).

(3) The multi-ethnicity of the sexually exploited women (Koreans, Chinese, Taiwanese, Filipinas, Indonesians, Dutch, Melanesians from the Southwest Pacific Islands, and Japanese).

(4) The intensity and duration of sexual violence against women (years of sex-slave-like treatment, often violent, in conditions similar to prison).

5) Control by the military leadership and the government (direct involvement of the Ministry of Defense and the Ministry of Foreign Affairs).

 

In other words, as a form of military sex slavery, it is one of the most serious and large-scale human rights violations in history, and there is no other example of such a horrific form of sexual violence and sexual exploitation by a national government and its military forces, even if there are similar, smaller examples (such as the long-term imprisonment and rape during the Bosnian War). In this sense, keeping this Japanese military sex slavery in people’s minds on a global scale is very useful for thinking about and remembering many other military sexual violence and sexual crimes in this context. Therefore, the Mayor of Stintino is truly right when she says that she is “proud to accept the statue of a young girl as a universal symbol of the fight against crimes against women, both in times of peace and war.”

 

By comparison, the very abstract “Monument against all wartime violence against women” proposed by you, the Mayor of Berlin and the Mayor of Mitte, without any reference to concrete examples of brutal cases of military sexual violence, does not have the power to speak strongly and deeply to the hearts and minds of those who see it. In the end, such monuments end up with the idea that “wartime sexual violence is not unusual because it is often seen everywhere and at all times, and we do not feel personally responsible for such atrocities,” and so in the end no one takes responsibility.

 

On the other hand, in the case of Japanese military sexual slavery, continuing to hold the Japanese government accountable for its refusal to take responsibility for the massive and long-standing perpetration of such severe sexual violence in the form of such monuments should also teach us the importance of holding other forms of sexual violence accountable in order to prevent future sexual violence. Already, the Statue of Peace in the Mitte district is fulfilling such a role well.

 

We, the citizens of Hiroshima, urge the Mayor of Berlin and the District Director of Mitte to reconsider the above, to reflect on the historical significance of the current Peace Statue in Mitte and the many possibilities for its future use, and to reverse its removal and make it a permanent memorial.

 

Yours sincerely,

 

August 2, 2024

 

Shuichi Adachi, Yuki Tanaka, and Keiko Doi

Co-Chairs of

Hiroshima Network for the Solution of Japan’s Military “Comfort Women” Issues

Mail Box 132, Hiroshima City Citizens’ Plaza, Fukuro-Machi 6-36, Naka-Ku, Hiroshima City, Japan 730-0036

 

 

ベルリン市ミッテ区長 シュテファニー・レムリンガーさま

ベルリン市長 カイ・ヴェグナーさま

 

拝啓

 

今年5月、東京を訪問されたベルリンのカイ・ヴェグナー市長が、日本政府の上川陽子外相との会談で、ミッテ区に設置されている「平和の像(いわゆる「少女像」)について「女性に対する暴力に反対するモニュメントには賛成するが、これ以上一方的な表現があってはならない」や、「変化を作ることが重要だ」と発言されたため、少女像の撤去を念頭に置いた発言ではないかという憶測の報道がなされました。

 

「平和の像」設置と維持にこれまで努力してきたベルリン市民とその活動を支援する韓日両国をはじめ世界各地の多くの市民たちが懸念したように、ヴェグナー市長がドイツに帰国されるや間もなく、今度はレムリンガー区長が「平和の像」の撤去を9月に計画しているという趣旨の発言を、ミッテ区議会の教育文化委員会でされたというニュースも入ってきました。719日には、「平和の像」を設置した独韓市民団体「コリア協議会」と面談されたレムリンガー区長は、像の設置許可期限が終わる928日までに像を撤去しなければ、撤去するまで過料を繰り返し課す予定だと同協議会に告げられ、あわせて、来年月までにミッテ区内にすべての戦時性暴力の被害者のためのシンボルを設置すると述べられたというニュースも入ってきました。

 

こうしたベルリン市とミッテ区の突然の変化の裏には、これまでも繰り返しドイツ政府やミッテ区に、「平和の像」は「歴史事実に基づかない像」であるとの主張から撤去を強く要求し続けてきた日本政府からの政治的圧力に、あなたたちが、とうとう屈服されたものと推測いたします。

 

日本軍性奴隷の歴史事実については、長くなりますので詳しくは述べません。しかし、1点だけ重要なことを指摘しておきます。19938月4日、当時の日本政府(宮澤喜一内閣)は、この問題に関して行った詳細な調査結果を公表し、日本軍が「慰安所」設置に直接関与していたことをはっきりと認めると同時に、当時の河野洋平内閣官房長官が「談話」として日本政府の責任を明確に認めました。この調査では、1948年にオランダが行った戦犯裁判である「バタビア裁判」記録や戦時中に米軍が作成した関連報告書など、強制による女性の性奴隷化という事実を裏付ける合計260点以上の資料を参考にすると同時に、実際に16名の被害女性と「軍慰安所」関係者約15名からの聞き取り調査が行われました。

 

ところが2014年初頭から当時の安倍晋三首相は、「河野談話」検証要求の強い声を安倍支持派の自民党議員から出させ、同年620日には検討委員会による結果報告『慰安婦問題を巡る日韓間のやりとり経緯:河野談話作成からアジア女性基金まで』を発表しました。しかし、検討委員会は、談話作成のために使われた肝心の資料そのものに関する調査・検討は一切行わず、「河野談話」は、韓国側からの一方的な強い要求を最終的には受け入れざるをえなくなり、日本側が不本意ながら「強制」を認める形で作成されたという印象を国内外に強くあたえようという、悪意に満ちた政治的意図でこの報告書を作成しました。こうした歴史歪曲を、これ以降、日本政府は継承し、現在の岸田政権にも受け継がれています。簡潔にいうならば、日本軍性奴隷の「歴史事実」については、日本政府はこの10年間、世界に向けてあからさまな嘘を述べ続けており、破廉恥にも、その嘘を各国政府に受け入れるよう圧力をかけ続けているのです。

 

これまで世界各地に設置された日本軍性奴隷関係の「少女像」や「慰安婦慰霊碑」、「平和の碑」などは30基ほどあります。「少女像」は2013年に米国カリフォルニア州のグレンデール市立公園の公共図書館前への設置を皮切りに、海外でも建てられ始めました。しかし、虚偽の主張に基づく日本の政府と大使館の組織的な妨害によって、世界各国に建てられた少女像が撤去される状況が続いています。20181228日にフィリピンのサンペドロ市の「女性の家」に設置された「少女像」は、日本の外交的圧力で、わずか2日間で撤去されてしまいました。

 

そんな日本政府の執拗な妨害にもかかわらず、今年622日には、イタリアの風光明媚なサルデーニャ島のスティンティーノ市の海辺に、日本軍性奴隷制度の被害者を象徴する「平和の像」が設置されました。この少女像と共に設置された碑文には、「日本政府が引き続き『慰安婦』の存在を否定し、ドイツ、フィリピンなど多くの国で平和の少女像を撤去しようとする試みを進めているのは、非常に残念 なことだ」と、日本政府の責任を厳しく問う表現が、韓国語とイタリア語と英語で書かれています。リタ・バッレベッラ市長は、地元新聞に「平時と戦時にかかわらず、女性に対する犯罪に対抗して戦う普遍的な象徴となる少女像を受け入れることができて誇りに思う」(強調:引用者)と述べたとのこと。 

 

つまり、 スティンティーノ市の市長をはじめ、設置を認めた市議会の議員たち、さらにはこの像を正式に文化財として登録した州政府文化財庁は、このチマチョゴリを着た「少女像」が、単に韓国人・朝鮮人の被害者を代表するものだけではなく、「女性に対する犯罪に対抗して戦う普遍的な象徴となる少女像」と捉えていることが、はっきりと分かります。ベルリン市長、ミッテ区長であるご両人と違って、なぜそのような理解になるのでしょうか。

 

その理由を考えるにあたっては、以下のような、日本軍性奴隷制の極めて特殊な性質について知る必要があります。軍による女性の性の暴力的な搾取は、確かに世界各地に見られる普遍的な問題です。しかし、日本軍の性奴隷制度の場合、他国の軍管理売春あるいは性奴隷制度と比較して以下の5点において特殊性が見られます:

 

1)地理的な広範囲性(アジア太平洋全域、女性が移動させられた距離の長さの点でも極めて特異。アフリカ各地からアメリカ大陸に送られた、黒人奴隷が移動させられた距離に匹敵する。)

2)性的搾取を受けた女性の絶対数の多さ(推定8〜10万人と言われている)

3)性的搾取を受けた女性の多民族性(朝鮮人、中国人、台湾人、フィリッピン人、インドネシア人、オランダ人、南西太平洋諸島のメラネシア人など)

4)女性に対する性暴力の度合いの激しさと期間の長さ(数年にわたる監禁同様の状態での、しばしば暴力を伴う性奴隷的取り扱い)

5)軍指導部と政府による統制(陸軍省、外務省による直接関与)

 

つまり、軍による性奴隷制度としては、歴史的に稀にみる激しい且つ大規模な人権侵害であり、国家政府によるこれほど凄まじい性暴力・性搾取の形態は、類似したもっと小規模な例(例えばボズニア戦争における長期監禁強姦)はあるとしても、他に類例がみられません。その意味では、この日本軍性奴隷制度を世界的な規模で人々の記憶に永久にとどめておくことが、その関連で、そのほかの多くの様々な軍性暴力・性犯罪についても考え、記憶にとどめる上で非常に有効なのです。よって、バッレベッラ市長の「平時と戦時ともに、女性に対する犯罪に対抗して戦う普遍的な象徴となる少女像を受け入れることができて誇りに思う」という言葉は、誠に正しいのです。

 

それと比較して、なんらかの具体的な軍性暴力の残虐なケースについての例を指摘することなく、ベルリン市長やミッテ区長のあなたがたが提案する、ごく抽象的な「戦時、女性に対する暴力に反対するモニュメント」では、モニュメントを目にする人たちの心に強く深く訴えてくる力はありません。結局、そのようなモニュメントでは、「戦時の性暴力はどこでも、いつでも頻繁に見られるので珍しくもなく、私たちが個人的にやったわけではないので、責任と言われても……」という考えで終わらせてしまい、結局誰も責任を取らないままということになります。

 

一方、日本軍性奴隷制の場合、それほど激しい性暴力を大々的且つ長年にわたって犯し続けた責任を認めない日本政府の責任追及を、こうした記念碑という形で行い続けることが、その他の性暴力についても、将来の性暴力を防止する上で、その責任追及の重要性を私たちに教えてくれるはずです。すでに、ミッテ区の「平和の像」はそのような役割をしっかりと果たしています。

 

ベルリン市長やミッテ区長のお二人が、以上のことにもう一度考えをめぐらし、現在ミッテ区に設置されている「平和の像」の歴史的意味と将来に向けての活用の多いなる可能性について熟考され、撤去を撤回され、永久設置に変更されることを、私たち広島の市民は強く要求します。

敬具

202482

日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク

共同代表 足立修一  田中利幸  土井桂子 

 

 

2024年7月25日木曜日

Protesting against sexual violence committed by US soldiers stationed in Okinawa

沖縄駐留米軍兵による性暴力に抗議する

 

The following two statements were recently posted on Facebook in protest at the ongoing sexual violence committed by US soldiers stationed in Okinawa.

最近フェイスブックに、長年にわたって止むことのない沖縄駐留米軍兵による性暴力に関する以下の2つの抗議文が掲載されました。一つは、宮古島にお住まいの楚南有香子さんによるもの、もう一つはフィリッピンの日本軍性奴隷制度(いわゆる「慰安婦制度」)の犠牲者の会であるリラ・ピリピナから沖縄の人々との連帯を表明するメッセージです。

 

1)Statement made on 14 July by Ms. Yukako Sonan, a civilian resident of Miyako Island in the Okinawa Islands

 

The original Japanese text posted on Facebook follows the text of the English translation below. フェイスブックに掲載された日本語のオリジナル原稿は、英語翻訳版の後に記載しました。)

 

This is what I said at the press conference:

This time, we had a new protest banner. It reads “Over 1,000 Cases of Sexual Violence by US Soldiers in Okinawa (1945 - December 2021)” and it was taken from the booklet Sexual Crimes Committed against Women by US Soldiers in Okinawa (13th revised edition), published by the Women's Association for No Toleration of Military Bases and Armed Forces.

 

It is incredible to think that only one tenth of the recorded sex crimes committed by US soldiers stationed in Okinawa have come to light to date.* When one wonders how many crimes actually go unchecked, it is almost as if Okinawa is a lawless zone for the US military and US soldiers. (*This is an estimate based on the latest information from the Okinawa-wide survey conducted by the Women’s Association for No Toleration of Military Bases and Armed Forces, which suggests that as many as 9,000 sex crimes may have gone unchecked).

 

As a mother and a woman, I am filled with a deep sense of outrage and sadness when I think of the emotional and physical trauma that the victims have endured. As with recent cases of sexual violence, I feel a strong desire to stand up and make a real difference.

 

We believe that serious efforts are needed to bring about change. We are ready and willing to make a difference. We believe that we can make a real difference for those of us who live in the present and for the children who will live in Okinawa in the future.

 

Each year, many young people embark on exciting new adventures when they leave the islands to pursue further education or employment opportunities. It is a real shame for the hopeful children and the parents who send them away that they do not feel safe. We want Okinawa’s elected members of the Diet (the Japanese parliament) to take a strong and decisive stand on this issue. We want them to expose the truth about the Japanese government’s cover-up and hold those responsible to account.

 

There is also a need to investigate whether there were problems with police administration, such as whether the Okinawa Prefectural Police, who were also complicit in the cover-up, have been held accountable and reprimanded. And we could also investigate whether the victims have received the care and support they deserve. I want the members of the prefectural assembly to work hard on this.

 

It is so important that we, the citizens, are kept up to date and informed. That assurance  is fundamental to the realization of democracy. I really believe that there should be voices from within the ruling party, the Liberal Democratic Party, questioning the cover-up. I feel a sense of crisis that such voices are not being heard from the center of the nation.

 

An article in today’s Okinawa Times states that “Regarding the arrest and detection of sexual crimes committed by US military personnel, it was found that, since at least 2021, prefectural police outside Okinawa, where major US military facilities are located, have also not disclosed the cases to the press. A number of sexual assaults by US soldiers have been uncovered in Okinawa Prefecture since June, but the fact that neither the prefectural police nor the district attorney’s office have disclosed any of the cases is a serious problem. It is possible that they are also withholding press releases nationwide.”

 

It is time to broaden the campaign for revision of the US-Japan Status of Forces Agreement, not only in Okinawa but throughout Japan, and to make every effort to achieve it.

 

It has been 80 years since the end of the Asia-Pacific War and 50 years since Okinawa was reunited with Japan. It is time for the Japanese government to do better. We, the people, have the power to demand better from our government. Let’s call them out for their lack of diplomacy and incompetence. They have failed to secure a review of the US-Japan Status of Forces Agreement, even though both countries claim to be important allies. It is time for a change!

 

A group of civilians from Miyako Island at the press conference, protesting against sexual violence committed by U.S. soldiers in Okinawa. Photo provided by Ms. Sonan.

 

宮古島 楚南有香子さんのFacebookから。

(以下転載)

 

2024714

 

記者会見で話したこと

 

今回、バナーに「沖縄の米兵の性暴力件数1000(1945年~202112)」と上げていますが、これは「基地・軍隊を許さない女たちの会」が発行している冊子「沖縄・米兵による女性への性犯罪 改訂版第13版」から引用しています。

 

記録に残っている沖縄駐留の米兵による性犯罪は10分の1しか表に出てこないと言われるなか*、はたして実際どれ程の犯罪が野放しになっているのかと考えると、沖縄はアメリカ軍・アメリカ兵にとっての無法地帯と言っていい状況なのではないかと思うほどです。(*これは沖縄全域を調査した「基地・軍隊を許さないおんなたちの会」の最新情報による推測数字で、この数字から推察するならば、9000件もの性犯罪が放置されてきた可能性があることになる。)

 

子どもを持つ母親として、一人の女性として、過去の性暴力事件と同じように、今回明らかになった事件に対して、被害者の心と身体の傷みを想像する時、本当に言葉にならない悲しみと共に、激しい怒りを抑えることが出来ません。

 

今を生きる私達のために、この先を生きていく沖縄に暮らす子ども達の為に、本気でこの状況を変える取り組みが必要だと考えています。毎年たくさんの若者が進学や就職で、島を離れていきます。その先が、安全だと思えないことは、希望溢れる子どもたちにとっても、送り出す親にとっても不幸なことです。

 

今回、日本政府による事件の隠蔽行為が問題視されていることについては、沖縄選出の国会議員の方々にしっかりと取り組んでいただき、責任の所在を突き止めていただきたいと思います。

 

また、同様に隠蔽行為に加担した沖縄県警に対しても、その責任の所在と処分について、そして被害者へのケアが充分に届いていたかどうか等、警察行政に問題がなかったかの調査が必要だと思います。そこのところ、県議の方々には、しっかりと取り組んでいただきたいです。

 

私達国民一人一人に、素早く正確な情報が伝わるか否かは、民主主義の実現の根幹に関わる問題です。ですから、隠蔽行為については、自民党内からも疑問視する声が上がってしかるべきだと思います。そういう声が中央から聞こえてこないことに、危機感を感じます。

 

今日の沖縄タイムスの記事に「米軍関係者による性犯罪の逮捕・摘発に関して、少なくとも2021年以降、沖縄以外の、主要な米軍施設がある県警も報道機関に広報していないことが分かった。県内では6月以降、米兵による性的暴行事件が相次いで明らかになったが、県警や地検がいずれの事件も公表していないことが問題になった。全国でも報道発表を控えている可能性がある。」との報道がありました。

 

沖縄だけでなく、全国各地で日米地位協定の見直しを求める運動を広げ、その実現の為にありとあらゆる努力をすべき時です。

 

戦後80年、沖縄の日本再統合から50年経っているにも関わらず、重要な同盟国だと互いを位置づけているアメリカとの間で、日米地位協定の見直しすら実現出来ないレベルの外交力、日本政府の無能ぶりは、全国民から批判されるべきだと考えます。

 

以上 

 

2)LILA PILIPINA STATEMENT ON RECENT CASES OF MILITARY SEXUAL VIOLENCE IN OKINAWA

Posted on Facebook on 18 July 2024

 

(この英語のオリジナル・メッセージの和訳は、英語メッセージの後に記載しました。The Japanese translation of this message follows the original English text below.)

 

(LILA PILIPINA is an organization of World War II “comfort women” – victims of wartime military sexual slavery by Japanese Imperial Army. Lila Pilipina expresses solidarity with the victims and their families, and the Okinawan people protesting the recent cases of military sexual violence committed by US servicemen in the island.)

 

The series of cases, which began in 2023, only recently came to public knowledge, kept out of the public eye by both US and national authorities in Japan, presumably in an attempt to stifle protests by the Japanese people. The latest case, according to international news reports, occurred in May this year.

 

These cases involved kidnappings and sexual assault against young Okinawan women and girls committed by US soldiers. Okinawa hosts several US bases in the island and has a Status of Forces Agreement (SOFA) with the US which supposedly includes guidelines on the handling of cases of erring soldiers stationed or on missions in Japan.

 

These cases come as the latest in a long list of sexual violence cases committed by US soldiers in its decades-long history of military occupation of weaker countries or where it installs military facilities. These countries include the Philippines, Japan, South Korea, Colombia, Iraq, Vietnam during the 70’s US invasion of Indochina and others. Justice in majority of these cases have not been rendered and many victims continue to struggle for justice or recognition to this day, or still carry the trauma brought about by their experience in the hands of American soldiers.

 

That the US has pivoted to the Asia-Pacific region in its containment strategy against China does not portend well for women of the region. They are not only rendered vulnerable to acts of sexual violence committed by individual soldiers but are bound to be affected as well by the proliferation of the sex trade in areas where US military facilities operate.

 

Worse, in the Philippines, US political and economic dominance has never really made justice fully possible for victims of sexual violence perpetrated by US troops. Lila Pilipina echoes the calls of the Okinawan peoples for justice for the victims and the removal of the US Bases in Japan.

 

We reiterate as well calls for the scrapping of military agreements between the US and the Philippine governments that allow the use of Philippine territory for the war operations of the US and its Western allies.

 

Militarism and wars of aggression have always bred not just the massive destruction of lives and properties. Rape and other forms of abuse against women of the occupied nation have always been utilized by occupying powers as a weapon for subjugating peoples. Lila Pilipina has struggled for justice for comfort women and will always support the struggles of victims of other cases of military sexual violence.

 

リラ・ピリピナ 沖縄における最近の軍性暴力事件に関する声明

2024718日 フェイスブックに掲載

 

(リラ・ピリピナは、第二次世界大戦中の日本帝国軍による戦時軍性奴隷制のフィリッピン女性犠牲者たち ― いわゆる「慰安婦」 ― とその支援者の団体である。リラ・ピリピナは、被害者とその家族、そして最近沖縄で起きている米軍兵士による性的暴力に抗議する沖縄の人々との連帯をここに表明する。)

 

2023年に始まったこの一連の米軍兵による性暴力事件は、最近になってようやく公になった。おそらく日本国民の抗議を抑え込むために、米国と日本の両国家当局の両方が公の目に触れないようにしていたのであろう。国際的な報道によれば、最新の事件は今年5月に発生した。

 

これらの事件は、米兵による沖縄の若い女性や少女に対する誘拐や性的暴行に関するものであった。沖縄にはいくつかの米軍基地があり、米国との間で日米地位協定(SOFA)が結ばれている。しかもこの協定には、日本に駐留または任務に就いている兵士が過ちを犯した場合の処理に関するガイドラインが含まれているにもかかわらずなのである。

 

これらの事件は、数十年にわたる弱小国での軍事占領や軍事施設設置の歴史の中で、米兵が犯した性暴力事件の最新のケースである。これらの国々には、フィリピン、日本、韓国、コロンビア、イラク、70年代の米軍インドシナ侵攻時のベトナムなどが含まれている。このようなケースの大半で正義は果たされておらず、多くの被害者が今日に至るまで正義や事実認知を求めて闘い続けているか、 あるいは、アメリカ兵の手によってもたらされた心的外傷をいまだに抱えている。

 

米国が対中封じ込め戦略においてアジア太平洋地域にその軸足を移したことが、この地域の女性にとって良い結果をもたらしてはいない。彼女たちは、個々の兵士による性暴力の被害を受けやすいだけでなく、米軍施設が活動する地域での性風俗商取引の拡大によっても影響を受けるに違いない。

 

さらに悪いことには、フィリピンでは、米国による政治的・経済的支配によって、米軍による性暴力の被害者のための正義が完全に実現されたことはない。(そのような体験から)リラ・ピリピナは、被害者のための正義と在日米軍基地の撤去を求める沖縄の人々の声に共鳴する。

 

私たちは、米国とその西側同盟国の戦争活動のためにフィリピンの領土を使用することを認める米国とフィリピン政府間の軍事協定の破棄を、ここにあらためて要求する。

 

軍国主義と侵略戦争は常に、人命と財産の甚大な破壊を生むだけではなかった。占領国の女性に対する強姦やその他の虐待は、常に占領国が民族を服従させるための武器として利用されてきた。リラ・ピリピナは、「慰安婦」に対する正義のために闘ってきたし、その他の軍事的性暴力事件の被害者の闘いを、これからも常に支援していく。

 

以上