私の尊敬する写真家、福島菊次郎さんが昨日、他界されました。
山口県柳井市の福島さんの御自宅である、8畳一間ほどの狭いアパートに幾度かお邪魔して、愛犬を抱える福島さんから様々なお話を伺ったことが、つい先日のように思い出されます。本当に気骨のある、すばらしい人でした。写真撮影技術は独学であったため、写真専門学校で学んだような優等生のプロ写真家の眼からすれば、技術的には優れた作品とは評価されなかったもしれません。しかし、そんな小手先の技術など、福島さんの写真作品から受ける強烈なインパクトの前では、全く気になりません。福島さんのあの強烈な精神力が、レンズを通過して被写体を確実につかみとらえて離さず、捉えた映像で「これを見ろ!」と私たちに迫ってくるその迫力。こんなすごい写真は、福島さんだからこそ撮れた映像でした。福島さんの作品は、四國五郎さんの絵画と同様、どこかケーテ・コルビッツにつながるような印象を与える、すばらしい芸術作品です。それは、福島さんもまた、社会の最底辺で苦しむ人、差別される人、戦争被害者、権力に抑圧される人たちの「痛み」にレンズのフォーカスを当て、「痛みを芸術に変える創造力」で写真を撮り続けたからではないでしょうか。
福島さん、すばらしい作品で感動を与え続けていただいたことに、本当に感謝します。ご冥福を祈ります。
福島菊次郎さんの生きざまと作品を紹介した、私の英語論考です。
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