2024年4月20日土曜日

カナダ公共放送局CBCが「無差別爆撃」に関するラジオ番組を放送

Canadian public broadcaster CBC broadcasts radio 

program on “indiscriminate bombing.”

 

現地時間417日にカナダの公共放送局CBCが、1時間近いラジオ番組 “The History of Bombing Civilians: and why it is still a military tactic” (市民爆撃の歴史:なぜいまだに軍戦術なのか)を放送しました。この番組で私を含む3人(他の2人は米国人)がインタヴューを受けましたが、私は、第1次世界大戦からなぜ「無差別空爆」が始まり、戦後はその空爆戦術を英国や仏独が植民地支配のためにいかに活用し、第2次世界大戦では日独の枢軸国側も米英の連合国側もなぜ大々的にこの「無差別空爆」を展開するようになったのか、またいかにそれを正当化するようになったのかについて解説しました。

On 17 April local time, Canadian public broadcaster CBC aired a nearly hour-long radio program, “The History of Bombing Civilians: and why it is still a military tactic.” Three people, including myself (the other two were Americans) were interviewed on this program, and I was asked to explain why and how “indiscriminate bombing” began in World War I, how the British, French and Germans used this bombing tactic to control their colonies after the war, and why and how both the Axis powers (Japan and Germany) and the Allies (the US and Britain) came to deploy this “indiscriminate bombing” on a large scale in World War II and how they justified it.

それに続き番組は、イラク戦争で米軍が精密爆撃で戦争に勝利したという公的発表とは異なって、実際にはどれほどひどい「無差別爆撃」で多くの市民を殺害したかを、詳しく解説しています。

The program then goes on to detail how, contrary to official claims that the US military won the war in Iraq through precision bombing, it actually killed many civilians in a horrific “indiscriminate bombing campaign.”

この番組の最後に近い10分ほどでは、現在進行中のイスラエルによる(AI人工知能活用を含む)ガザ爆撃が、「無差別」というよりは明らかに市民を攻撃目標にしていることについて報告しています。ちなみに、ガザ空爆が開始されてからの最初の6日間でイスラエル軍は6千発という爆弾をこの狭いガザ地区に投下していますが、これほど激しい空爆は歴史上初めてのこと。

Towards the conclusion of this program, in the final 10 minutes or so, the program reports on the ongoing Israeli bombing of Gaza (including the use of AI), which is evidently targeting civilians rather than indiscriminately. It is also noteworthy that, over the first six days since the Gaza bombing commenced, Israeli forces have dropped 6,000 bombs on this small Gaza Strip, marking the first instance in history of such intense bombing.

それに続いて、最終の5分ほどで私が「纏めの発言」を行っています。事前に私に与えられた質問は「1世紀以上続いている無差別爆撃を、いかにしたら止めることができるか」という超難問でした。もちろん答えを見つけることは容易ではありません。よって、私は次のような内容のことを述べておきました。

This was followed by my concluding remarks in the final five minutes or so. The question posed to me in advance was a challenging one: “How can the indiscriminate bombing, which has been ongoing for over a century, be halted?” Of course, finding an answer is not easy at all. Consequently, I therefore opted to present the following statement instead.

1908年(ライト兄弟の飛行機による最初の人間飛行の成功からわずか5年後)に、英国の作家HG・ウェルズが書いた未来小説『空中戦(The War in the Air)』は、技術発展が政治や道徳を無意味なものにしてしまい、近代文明は爆撃機によって破壊されて、人間の道徳性が剥奪されるという内容になっている。その後の歴史は、この小説が予測したものにひじょうに似たものとなった。歴史上、無差別爆撃が戦争を早期に終わらせたというケースは実際にはないのであって、むしろ敵国の抵抗を長引かせる。無差別爆撃を続けることで、とりわけ政治家と軍指導者層の道徳観がさらに崩壊する。

In 1908, only five years after the Wright brothers’ inaugural human flight in an airplane, the British author H. G. Wells published the futuristic novel The War in the Air. In this work, technological advancement renders politics and morality meaningless, modern civilization is obliterated by bombers, and human morality is stripped away. Subsequent history has been strikingly similar to what the novel predicted. There is no historical precedent for indiscriminate bombing being an effective means of bringing a war to an early conclusion. Instead, it has a tendency to prolong the resistance of the enemy. Furthermore, the continued use of indiscriminate bombing has the effect of further undermining the moral values of those in positions of political and military leadership.

この番組を聴いたカナダの人たちが、ガザ爆撃の即刻停止を求める強い声をあげてくることを切に祈ります。

この番組は下記のURLで聴くことができます(文字起こしをして和訳する時間的な余裕が今の私にはないので申し訳ありません)。英語圏に友人・知人のおられる方は、この情報を拡散していただければ光栄です。

https://open.spotify.com/episode/3ccaLkrj3ElDQfcwexBxZE

I sincerely hope that Canadians who listen to this program will come forward with a strong call for an immediate halt to the bombing of Gaza.

You can listen to this program at the following URL. If you have friends or acquaintances in English-speaking countries, I would be honored if you could spread this information.

https://open.spotify.com/episode/3ccaLkrj3ElDQfcwexBxZE

 

田中利幸

Yuki Tanaka

Bombing Civilians: A Twentieth-Century History

https://thenewpress.com/books/bombing-civilians

Entwined Atrocities: New Insights into the U.S.- Japan Alliance

https://www.peterlang.com/document/1285367

『空の戦争史』 A History of Aerial Warfare

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000210431

 

マイケル・ルーニックの今日の漫画です

軍服:退役軍人と戦争屋

2024年4月12日金曜日

第二次世界大戦はいかにして現在も太平洋で大破壊を引き起こしているのか?

ABC TV 番組紹介

How World War II is still wreaking havoc in the Pacific

 

昨晩、オーストラリアの公共放送ABCTV報道番組「Foreign Correspondent (海外特派員)」で、非常にショッキングな報告が放送されました。

19428月から432月の約7ヶ月間、ソロモン諸島のガダルカナル近海とガダルカナル島で展開された日本軍と連合軍(主として米軍)の激戦では、上陸した日本軍兵士31,400名のうち20,860名が死亡。このうちの15千名ほどが餓死またはマラリヤなどによる病死者でした。連合軍側の死亡者は約7,100名。

昨晩のTV報道によると、ガダルカナル近海には大小様々な約200隻の船と690機あまりの飛行機が沈んでおり、この80年の間にとりわけ船の燃料タンクが錆で腐食し、徐々に油が流れ出て海を汚染し続けているとのこと。しかしいまだに大量の石油が多くの船の燃料タンクに残っており、近い将来、大型船舶の燃料タンクが腐食しきって石油が流れ出すならば、ソロモン諸島の海は取り返しのつかない大々的な海洋汚染に見舞われる危険があるとのことです。またガダルカナル島の陸地のあちこちには、長年の不発弾処理にも関わらず、いまだに、おそらく数十万発にのぼる数の不発弾が散乱しており、爆発事故での死傷者が耐えないとのこと。にもかかわらす、日本政府も米国政府もガダルカナルのこうした状況には全く無関心という、無責任極まりない態度を取り続けています。

太平洋戦争では、ソロモン諸島だけではなく、19426月のミッドウェー海戦や19446月のマリアナ沖海戦、同年10月のレイテ海戦など、3年半以上にわたって太平洋各地で様々な大規模な海戦を行い、その結果、大型空母を含む無数の戦艦、輸送船、戦闘機などが太平洋各地に沈没しています。こうした沈没船や飛行機から流出している大量の石油が、80年という長い年月を経ても、いまだに深刻な海洋汚染の危機をもたらしているのです。(太平洋の歴史的経緯ついては、当ブログ「15年戦争史概観V」を参照されたし:http://yjtanaka.blogspot.com/2018/06/v.html )

ところが、日米両国首脳は、ワシントンでの大晩餐会で浮かれているだけではなく、再度、太平洋の広域を大戦場にする危険性を拡大させているのが現状です。これまで長年にわたって世界各地で行われ今も各地で続いている戦争で、ジェット戦闘機、爆撃機、戦車、戦艦などの機動のために大量の石油を消費し、爆撃、砲撃、ミサイル発射などでも、大量のCO2を発生させています。こうした世界各国の軍が産み出すCO2が、地球温暖化の一つの大きな原因であると私は考えますが、なぜか、環境保護運動に携わっている多くの諸市民団体が、この問題に無頓着のように思えます。

 残念ながら、このTV番組の音声を全て日本語に翻訳している時間的な余裕が、今の私にはありません。下記にABCの英語による短い番組解説の和訳を載せておきますので、参考にしていただき、ぜひ映像をご覧になってください。解説の下に、番組ビデオにリンクするURLを載せてありますので、そこをクリックしてください。映像を観ていただくだけでも、いかに戦争が長年にわたって、人間と自然環境に深刻な破壊をもたらすかを実感していただけると思います。現在猛烈な破壊が進行中のガザ地区も、爆撃が停止されても、今後長年にわたって、その凄まじい影響が及び続けることは間違いないと思います。

 

A B Cによる番組解説

今から80年以上前の1940年代に、第2次世界大戦は太平洋全域で激しさを増し、連合軍と日本軍の間で熾烈な戦いが繰り広げられた。

最も重要な出来事のひとつはソロモン諸島のガダルカナルで、日本軍の太平洋進出を連合国が阻止し、約3万人の命が失われた。

それから80年余り、この戦いの致命的に危険な遺物処理は現在も続いている。今週の「海外特派員報告」では、レポーターのステファニー・マーチが、太平洋戦争の深刻な影響をいまだに受けているソロモン諸島の人々にインタヴューを行う。

2011年以来、約5万個の不発弾が発見されている。

爆弾やその他の弾薬の爆発事故は死傷者を出し、生存者はほとんど支援を受けられずに自力で闘うしかない。

島々を囲む海には、戦争で腐食した難破船が何百隻も沈んでおり、時限爆弾と表現する人もいるほどだ。錆びついた難破船のひとつから石油が流出すれば、大惨事になりかねない。

ソロモン諸島の人々は、自分たちの土地で戦争を戦った者たちが、自分たちが残した汚染物を一掃するためにもっと努力すべきだと信じている。

ある現地の人は言う: 「戦争が終わったとき、アメリカ軍、日本軍、連合軍は平和のうちに故郷に帰った。ここソロモン諸島が安全になるまで、私たちはまだ平和を手にしていないのです」。

 

https://www.abc.net.au/news/2024-04-11/how-world-war-ii-is-still-wreaking-havoc-in-pacific/103698278

 

 

最後に、マイケル・ルーニックの「間違った惑星」と題された、最近の詩と漫画を紹介しておきます。

 

 「間違った惑星」

 

またしても彼は、間違った惑星で目覚めた

 

狂った人間が、空から大量の爆弾を地上の罪のない母親と子どもたちの上に落とす惑星

 

この残酷な腐敗に、市民はショックと憤りと悲しみで気分が悪くなる惑星

 

政治的な狡猾さ、残酷な権力、醜い富を前にして、市民が絶望を感じている悲しい惑星

 

庶民の心に憎しみと破壊が眠る惑星

 

愛と正義、それに心を癒す美しさが、悪に満ちた同じ心の中に眠っている失われた惑星