2018年7月8日日曜日

講演案内

* 神戸講演
113回「小田実を読む」田中利幸さんが語る「太平洋戦争と小田実」

     発起人/北野辰一(文責)、山村雅治、北川靖一郎、川島智子、玄順恵

田中利幸さんのお話を私が初めてうかがったのは、「手塚治虫と小田実」であった。その後、遅ればせながら田中利幸さんの書かれた講談社現代新書の『空の戦争史』を手に取った次第である。
今回は、「太平洋戦争と小田実」という演題でお話しくださると云う。根が単純な私は、どうしても手塚治虫のお話をされた時の印象があるせいか、この南方の戦の話と聞くと、すぐ水木しげるの『ラバウル戦記』(ちくま文庫)を思い出してしまう。当時・ニューブリテン島(現・パプアニューギニア)の野戦病院に送られた水木しげるは、そこで病院を抜け出し原住民の〈森の人たち〉との心温まる交流の話は、ラバウルの最前線ズンケンでの悲惨な戦争体験と好対照で、印象に残る話であった。手塚治虫も戦争を題材とした漫画がある。が、水木しげるにも、一兵卒としてズンケンからバイエンへ送られ一人だけ奇跡的に生還した体験や、爆撃で負傷した腕を腐ったため切断した体験なども漫画にしている。
話によると、田中利幸さんも太平洋戦争で被害にあった島々のフィールド・ワークをされた経験がおありだとうかがい、今から楽しみ……というと内容的に不謹慎ではあるが、私たちの知らない、また気づいていないことを辛口にお話いただけるのではないかと今から期待はつのるばかりである。小田さんの作品では、南方の戦争をあつかったものとして『ガ島』や『玉砕』などの長篇小説がすぐ頭に浮かぶ。勿論、短篇や未完の作品まで含めれば、太平洋の島々で「大東亜戦争」として戦われたものは意外とある。それらはきっと当日、田中利幸さんが、ご自分の体験も含め、戦争で亡くなった兵士から、ともに亡くなった元々そこに住む島民たち、戦争に翻弄された記憶を家族の中で持つものは、戦後も苦労されたことなどきっと話されるに違いない。また「小田実没後10年の集い」で話された、天皇制についても触れないことはないだろう、と勝手に思っている始末である。どうぞ当日は多くの方をお誘いの上おこしください。

日  時  2018728日(土)14:0017:00
会  場  あしや市民活動センター リードあしや 2階号室
(芦屋市公光町5-8)
講  話  「太平洋戦争と小田実―戦争責任を問う」
講  師  田中利幸(歴史家、「86ヒロシマ平和への集い」代表)
資料代   1,000 円           


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*東京講演
シ リ ー ズ 公 開 学 習 会 ヒ ロ シ マ・ ナ ガ サ キ と ア ジ ア 
講演:田中利幸さん(歴史家/86ヒロシマ平和への集い」代表)
国家主義を突き破る人道主義 栗原貞子の思想と沼田鈴子の実践から学ぶべきもの

ヒロシマの被爆者でありながら、日本国家が犯した侵略戦争の加害と向きあった、詩人・栗原貞子さん。 同じく被爆者でありながら(広島の陸軍第5師団が虐殺を行った)マレーを訪れ、被害者に謝罪した沼田鈴子さん。 2人の思想と実践から、私たちは学ぶべきことが多くあると考え、豪州在住の田中利幸さんにお話を伺います。

810()1830分〜2030
武蔵野公会堂・第1会議室先着 50 資料代 700  
問合せ;090-2647-3722 植松 uematsuseiji@gmail.com

残念ながら日本の被爆者による市民運動は、一般的には、もっぱら自己の被害に焦点を当てる「反核・平和」運動に片寄っており、日本国家が犯した侵略戦争の膨大な数にのぼるアジア・太平洋地域の被害者の「痛み」を自分たちの「痛み」と共に内面化するような運動ではありませんでした。そうした被爆者の中にあって、詩人・栗 原貞子と証言活動家・沼田鈴子は異色の存在でした。栗原の作品と沼田の実践活動には狭隘な国家主義を突き破る力強い平和構築のメッセージ、戦争の被害と加害の両方に鋭く目を注ぐ深い人道主義が横たわっていました。 極右国家主義を推し進める安倍政権という政府を持つ日本の現状に直面する私たちは、今もう一度、栗原と沼田という二人の女性が残した思想と実践から、強靭な、真に普遍的な人道主義をいかにすれば自分たちのものとできるかについて学ぶべきときではないでしょうか。(田中利幸)
講師田中利幸さん
(歴史家、86ヒロシマ平和への集い」代表)

主催;「ヒロシマ・ナガサキとアジア」研究グループ(仮称)
2018 1月より沼田鈴子さんの人生と行動を学ぶ、という趣旨で学習会開始。5月、田中利幸さんと意見交換会を行い、再度お話を伺いたいと考え、今回の学習会を企画しました。


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