1970年代、私たちが学生運動に没頭していたとき、突然、「森田童子」という名前で女性シンガー・ソングライターが登場。「僕」という男をテーマに、やさしくて、とても哀調のある歌詞を、すてきな声で歌う彼女にいっぺんに魅惑されてしまいました。
当時、学生運動のドロドロした人間関係のなかで、友情とはいったいなにか、どうしたら思いやりの深い人間関係を築けるのかと、心の奥では悩んでいた私たち。仲間のなかに自死を選んで運動から消えていった在日の学生がおり、なにもしてあげることができず罪意識だけが残った悲しい思い出。それは社会革命、政治改革というような「夢」を追求するなかで、私たち一人一人がどうしても直面し、真剣に考えなければならない問題だったのです。ところが、「革命運動」に関わっている人間がそんなことを口にすることすら恥ずかしいことだと気負っていた私たちの正直な気持ちを、突然、女性が堂々と歌ってくれたことにショックを受けたその喜びを、今も昨日のように思い出します。
いったい彼女はどんな人なのかと、彼女に恋するほど憧れましたが、全く謎の人でした。それは今も謎のままですが、彼女が4月24日に他界していたことをニュースで知りました。本当に残念です。彼女に一度お会いしたかった。ここに哀悼の意を表すると同時に、学生運動のなかで荒れすさむ私たちの心を、やさしい歌で抱擁してくれた彼女に深く感謝し、ご冥福を祈ります。本当に、本当にありがとう、森田童子。
みんな夢でありました
しかし40年以上たった今も、そのときの「夢」を追い続けている人は、幸いにして大勢います。
さよならぼくのともだち
たとえばぼくが死んだら
雨のクロール
他にもまだまだ感動的な歌があります。
0 件のコメント:
コメントを投稿