10月13日のブログでは英国の公共放送<4チャンネル>による報道を紹介しておきました。ガザ地区の状況はますます悪化するばかりです。そこで、再度、ガザ地区とイスラエルの近況に関する4チャンネルの報道を紹介しておきます。ごく簡単ですが、内容について日本語の解説をつけておきました。
4チャンネルによる今日の報告
Israel says senior Hamas leader killed, 250 targets attacked in Gaza raid
(イスラエル、ガザ急襲でハマス幹部を殺害、250の標的を攻撃と発表)
https://www.youtube.com/watch?v=fKImdLUTOhM
イスラエル政府は25日夜から26日にかけてガザ北部で「情報収集を目的とする次の段階としての戦闘準備として、複数の戦車やブルドーザーを使い、目標を絞った攻撃」を行ったと発表した(ビデオ開始から29 – 46秒)。いよいよ本格的なガザ地区への侵攻が始まるのであろうか。そうなれば、さらに、さらに悲惨な状況になることは避けられない。
イスラエルでは、ハマスの人質(220名ほど)になっている人たちの親族や友人たちが、人質を安全に帰還させるまで、停戦を行うべきだと政府に要求するデモが行われている(1分42秒 – 2分56秒 インタヴューの途中からハマスによるロケット弾攻撃の警報)。
イスラエルによるガザへの猛烈な爆撃が引き続き行われており、「安全な南部に移動せよ」というイスラエルからの警告にもかかわらず、多くの市民(とくに子どもたち)が、引き続き行われている南部への爆撃で犠牲になっている(2分58秒 – 5分29秒)。「ハマス幹部を爆撃で殺害した」というイスラエルの発表の裏で、実際には、このように多くの無差別大量殺戮が毎日行われている。
インタヴューを受けたガザの医師は(8分25秒 – 12分05秒)、毎日続く爆撃のため、医療従事者たちは毎日ひっきりなしに送り込まれてくる負傷者(多くが赤子、子ども、女性)の治療に疲労困憊。肉体的だけではなく精神的にも耐えられず、泣きながら治療に当たっている者もいると証言。飲料水・食糧は言うまでもなく、医薬品が欠乏し麻酔薬がもはやないため、手術を麻酔薬なしで行わなくてはならないという困難に直面している。病院は備え付けの発電機で電力をまかなっているが、発電機を動かす燃料が底をつきつつあるため、いつ電力停止になるか分からない。電力停止になれば、死亡者が大量に出て、手の打ちようがなくなるとも述べている。
死亡者数に関しては(17分56秒 – 18分44秒)、ガザ地区厚生部の発表ではパレスチナ人の犠牲者は7千名(うち3千名近くが子ども)にまでなっている。しかし、この数はハマスの誇張であるというイスラエル側の発表を、米国大統領バイデンも「おそらく誇張であろう」と述べて支持。
しかし、ガザ地区の病院で治療に当たっている英国の(おそらくボランティアと思われる)医師によると(20分51秒 – 21分51秒)、病院は死亡者リストを正確に記録しているため、ガザ地区厚生部の発表の死亡者総数はほぼ正確なものと思われると述べている。米国のCNNの報道によれば、ガザ地区では、一部の親が、子どもが死亡した際の身元確認のために、子どもの足にアラビア語で名前を書いているとのこと。なんとも哀しいことである。
4チャンネルによる10月17日の報告
Gaza residents flee south only to be bombed by Israel
(ガザ地区住民、南へ逃れるもイスラエルによる空爆を受ける)
https://www.youtube.com/watch?v=Lu1YHFSxfD0
米国大統領バイデンがイスラエルを訪問する1日前の報告。(開始から1分20秒 – 3分10秒)では、「比較的安全であるガザ南部に移動しろ」とイスラエル側に警告された人たちが、南部に移っても、イスラエルが引き続き行う無差別爆撃にさらされている。数千人の子どもたちが避難している学校が爆撃され、少なくとも6人が死亡したという報告もある。イスラエル側は、いまだ南部にもハマス戦闘員が隠れているために爆撃したと主張。ガザ地区南部も飲料水、食糧、医薬品が極端に欠乏しており、エジブト国境付近では、ガザ地区への救援物資を届けるためのトラックが列を作って停車している。これはイスラエルが、救援物資がハマスの手に渡る危険性があるため、トラックを通過させることができないと主張しているためである。
国連パレスチナ難民救済事業機関のコミュニケーション部長ジュリエッタ・トウマアへのインタヴュー(5分37秒 – 10分32秒)でも、飲料水、食料品、医薬品の支援物資のガザ地区への輸送がいかに困難であるかが、詳しく説明されている。また避難する場所も非常に限られており、避難所として使われているある倉庫には、8千人という数の避難民がぎゅう詰めになっているが、そこにはトイレは1つしかないとのこと。
娘をハマスに人質にとられている父親は、インタヴューで(14分00 – 14分42秒)、政府に停戦交渉を要求すると同時に、250万人のガザ地区市民は我々の敵ではなく、向こう側に住んでいる住民の苦しみも我々は理解すべきだ、と述べる。
ハマスの攻撃を受けたイスラエル村落の死亡者の遺体収容に出かけたボランティアの記者会見(16分24秒〜)では、複数の子どもたちが縛られて焼き殺された状態や、妊婦が殺されて大量の血でズブ濡れになっていた遺体の残虐極まりない状態について、泣きながら証言。インタビューで「パレスチナの子どもたちが爆撃で殺されている状態について、あなたはどう思うか?」と訊かれた彼は、「心から同情するし、できることなら、パレスチパレスチナの家族を我家に避難させたい。しかし、ハマスがそれを許さない」と述べている。
最後に、私の好きな宮沢賢治の詩とマイケル・ルーニッグの絵と詩を付記しておきます。もちろん、宮沢賢治の詩のような人間には、私は到底なれないですが…。
雨にも負けず
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしは
なりたい
祈り |
銃と爆弾、残酷さ、憎悪
金、欲、不動産
狂気、権力、病んだ思想
奴らと我々、荒涼とした恐怖
ねじれた心と壊れた魂
ズタズタになった命と弾痕
怒り、復讐、終わりのない痛み
正気であることの孤独
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