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2023年8月21日月曜日

「安倍国葬 違憲」訴訟 意見陳述書

昨年927日に日本武道館で行われた安倍晋三国葬儀への招待名簿について、今月はじめに共同通信が内閣府に情報公開を請求したところ、その名簿の74%がいわゆる「のり弁」=黒塗り、つまり非公開だったとのこと。外国からの出席者 734 人を含め 4,170 名が出席したが、『東京新聞』(86日)によると、安倍と交友があった著名人を含む「遺族・遺族関係者」は 96% が、元国会議員は 100% が不開示だった。

この国葬に使われたほぼ 12 億円もの多額の経費の全額を国が つまり国民の税金で 賄ったわけであるが、自分たちの税金を使われた国民としては、当然、出席者に関する情報を知る権利があるはずである。出席者が名前を知られることに不都合を感じるような「国葬」であるならば、その「国葬」のやり方自体に「正当性がない」という「後ろめたさ」を、岸田首相をはじめ政府関係者たちが抱いていると推測できる。国葬については「法的根拠や基準がない」との批判が当初から続出したにもかかわらず、国会での説明もほとんどないまま、「閣議決定」で決めてしまった。法的根拠がない場合には「閣議決定」という文字通りの「無法な決定」で押し通してしまうというメチャクチャなやり方も、岸田政権は安倍政権から継承している。まさにこれは無法国家のやり方で、日本は「民主主義」国家とは言えない状況にまでなっている。

 

黒塗りされた安倍晋三国葬儀・招待名簿

 

 

私は前回のブログ記事で、政治家たちの大嘘が日常茶飯事化しつつあり、その結果「真実の言葉が空虚化」していることを指摘しておいたが、国葬問題の裏にも、この「真実の言葉の空虚化」という由々しい問題がある。

現在、東京地方裁判所で審理中の「安倍国葬 違憲」訴訟で、増田都子さんが述べられた意見陳述書を、ご本人のご承諾をえて、ここに紹介する。ここには、安倍や岸田の嘘を、さらには正義感を失っている日本の裁判官の情けなさを、増田さんが「真実の言葉」で厳しく抉り出していることに、私は痛快を感じる。増田さんはジャーナリストではないが、日本のジャーナリストの中には、増田さんのように「真実の言葉」で「政治家の嘘」を徹底的に追求する記者や評論家がひじょうに少ない。まれにそのような人がいるとすれば「奇人」扱いされるという日本の今の状況は、まさに「異常」であるというべきである。つまり、そこまで日本の「民主主義」は崩壊しつつある、と私は言いたい。

 

(ちなみに、私も昨年8月に、このブログで「国葬は民主主義を破壊する」と題する評論を載せておいたので、あわせてお目通しいただければ光栄である。

http://yjtanaka.blogspot.com/2022/08/blog-post.html

 

 

東京地方裁判所 御中

陳述書

2023年7月24日

増田都子(元中学校社会科教員)

 

1,安倍晋三は国賊というにふさわしく、国葬など全くふさわしくないこと。

 私は去年7月8日、たまたま見ていたテレビに「安倍首相、銃撃される」のテロップが流れた時、心の中で力いっぱい彼に向って引き金を引いた者です。

 

私は博愛主義者ではありません。彼は万死に値する! と確信しています。ただ1回の銃撃死などでは足りません。彼は日本国憲法の平和主義を破壊し、この憲法を作らせるに至ったアジア太平洋戦争での犠牲者、日本人310万人…その中には暴力で無理やり日本人にした朝鮮半島出身者もいます…と中国人を中心とするアジア人2000万人の犠牲者の「日本はもう二度と戦争をしないで!」という魂の叫びを踏みにじったのです。2310万回、死んでもいいはずです。

 

大日本帝国敗戦後、通算8年8か月にも及んだ最長政権と言いますが、彼が日本国の最高権力者である内閣総理大臣としてやったことは我が国の最高法規である日本国憲法の破壊活動です。彼は日本国の「国の形」の破壊、すなわち、最高法規であるはずの日本国憲法の大原則、平和主義・民主主義を破壊しました。今、刑務所にいる殺人犯など足元にも及ばない大罪人です。

 

彼が尊敬する祖父・岸信介が東条内閣の閣僚として真珠湾攻撃開始に判を押して始まった太平洋戦争の結果、大日本帝国は焦土となり、原爆投下までされて、日本人310万人の死者と、それに数倍する2千万人ともいわれる膨大なアジア人の死者…日本軍による虐殺者を含め…の山が築かれました。

 

岸は侵略国家、即ち他国に対する強盗殺人国家であった大日本帝国がでっち上げた傀儡国家満州国の官僚の実質NO.1であり、莫大なアヘン専売の利益を一部私物化し敗戦時、GHQにも極秘情報と共に差し出した可能性があります。東条がA級戦犯として死刑なら彼も死刑が相当のところ、A級戦犯容疑者でありながら不起訴となり釈放された理由でしょう。そして、彼はCIAのエージェントとなり(『CIA秘録』上巻)、石橋湛山死後、日本国民にとってはあまりにも不幸にも転がり込んできた内閣総理大臣として安保条約を改定し、日本国の主権をアメリカにさらに深く売り渡し属国化への道を深めました。そして当時でも反社会集団であることが明らかだった統一協会の創始者と深く親交を結び、我が国に統一協会を扶植しました。この親交は安倍晋三まで三代続きました。まさに、彼は正真正銘、国賊の嫡孫です。

 

その安倍晋三が、統一協会によって家庭も人生もメチャクチャに破壊された若者によって銃撃死したことは、まさに因果応報の見本といえましょう。

 

しかし、こうしたことは敗戦当時の人たちには夢にも考えることはできず、国の内外2310万人の惨死と彼らを愛した家族たちの無慮何千万の涙と、焦土と化した国土の上に、やっとやっと、日本国民が手にすることができたのが「もう二度と戦争はしない」という日本国憲法なのです。「戦争放棄の平和主義・国民主権・基本的人権の尊重」を三大原則とするのが現在の「『日本という国』の形」です。「天皇の命による戦争主義・天皇主権・無基本的人権」の大日本帝国とは全く正反対の「国の形」になったのです。

 

ところが、安倍晋三ときたら、あるネット番組で公言しました。

「日本国憲法の前文には『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と書いてある。つまり、自分たちの安全を世界に任せますよと言っている。そして『専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う』。

 自分たちが専制や隷従、圧迫と偏狭をなくそうと考えているわけではない。いじましいんですね。みっともない憲法ですよ、はっきり言って。それは、日本人が作ったんじゃないですからね。そんな憲法を持っている以上、外務省も、自分たちが発言するのを憲法上義務づけられていないんだから、国際社会に任せるんだから、精神がそうなってしまっているんですね。」

 この発言からも安倍晋三という人物には日本語の読解力が不足していることは明らかで、かつあまりにも無知で無教養であることが明らかです。

「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」からには、日本国自ら「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努め」ることが前提であることは中学生でも読めばわかります。中学校社会科の教員として、日本国憲法前文の暗唱を課した時「この部分が好きだ」という生徒が多くいました。

 日本国憲法は「日本人がつくったんじゃない」事実はあるけれども、天皇制を何とか残したい日本人為政者とGHQとの合作が原案であり、帝国議会で修正をしながら圧倒的多数で採択されたものであることは、少しでも憲法史を学習すれば理解できることであるのに、己の無知を棚に上げ、膨大な犠牲の山の上に日本国民が手にした最高法規を「いじましい、みっともない憲法」などと貶め、侮辱し、この平和主義を破壊することを信条として恥じない人物、それが安倍晋三でした。彼は大日本帝国が始めた侵略戦争による我が国内外の2310万人の犠牲者の魂が書き込ませた、ともいうべき日本国憲法を踏みにじって恥じない人物でした。

 

「国賊」の定義は「自国害をなす者、国に損害を与えたり国家尊厳貶めたりする者をののしっていう語」ですが、安倍晋三にピッタリ当てはまります。

 

ジャーナリストの青木理氏の著作『安倍三代』によれば、晋三の母校・成蹊大の恩師でもある加藤節(成蹊大名誉教授、政治学)氏にインタビューした際、加藤氏は安倍政権の顕著な特質を「『ふたつのムチ』--すなわち『無知』と『無恥』に集約されると辛辣に批判した」ということです。

 

 そういう晋三がやったことが「集団的自衛権行使は合憲」という閣議決定です。国の憲法の番人である内閣法制局長官が歴代「違憲」と言い続けていたことを、自分の言いなりになる人物を長官の座に座らせて「合憲」と強行しました。既に日本国は安倍晋三によって「法の支配」は無くなり「人の支配」に落ちぶれてしまっています。中国などを非難するとき、日本政府は「法の支配」という言葉を振りかざしますが、どの口が言うのか? いわゆる「おまゆう?(お前が言うか?)」です。

 

2014年7月1日のこの違憲の閣議決定は、日本国最高権力者・内閣総理大臣である安倍晋三による憲法破壊クーデターと言うべきではないでしょうか?

 

 集団的自衛権を実行・行使すれば…具体的には、他国の戦争、つまり、アメリカを守る戦争の為に自国の若者である自衛隊員の命を差し出すことになるでしょう。

彼はハッキリ言っています。「わが国の領土と領海は私たち自身が血を流してでも護り抜くという決意を示さなければなりません。…まず日本人が命をかけなければ、若い米軍の兵士の命もかけてくれません(『ジャパニズム』20125月号)」

軍事同盟というのは血の同盟です。日本がもし外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。しかし、今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです。…双務性を高めるということは、具体的には集団的自衛権の行使だと思います。(『この国を守る決意』より)」

 自分は絶対に「自衛員とともに血を流す」ことはないのです。「私たち自身が血を流してでも」と言いながら、「私たち」の中には自分が入るつもりはなかったでしょう。

 

 また、「ひとたび攻撃を受ければこれを回避することは難しく、この結果、先に攻撃したほうが圧倒的に有利になっているのが現実であります首相在任中の2018年2月14日の衆院予算委員会)」とか「憲法上は原子爆弾だって問題ではないですからね、憲法上は。小型であればですね」(「サンデー毎日」0262日号)とまで発言しています。内閣総理大臣が「先制攻撃が圧倒的に有利だ」とか「日本核武装も今の日本国憲法下でできる」などと公言したのです。

 安倍政権によって、既に、日本国憲法第9条は無視され、安全保障関連法案というアメリカを守るための戦争関連法案が強行成立させられてしまいました。その憲法破壊者・安倍晋三を国葬を以って顕彰したのが岸田政権です。そしてこの政権による安保三文書などという「戦争やる気満々」三文書によって、いつでも、アメリカ軍の指揮下、自衛隊員たちはアメリカを守るために戦争する体制が出来上がってしまいました。

 

 こんな日本国憲法の大原則である「平和主義・憲法9条」破壊の大悪事を、憲法尊重擁護義務を持つ安倍晋三は内閣総理大臣としてやりおおせたのです。

 

 他にも安倍晋三の悪事・違法行為は、数えるのも困難なほどたくさんあります。WEB論座「安倍政権の7年余りとは、日本史上の汚点である」(白井聡 京都精華大学人文学部准教授)の2020年の論考を利用させていただければ以下のようなものがあります。

 

山口敬之レイプ事件=自分の子分の性犯罪もみ消しの為に権力を行使」「森友学園事件=夫と共に『教育勅語が大好き』昭恵夫人のために国有地を叩き売り、権力を使って公文書を改ざん」「加計学園事件=法を破ってでも友達優遇、公金の横流し」「桜を見る会=公金を使って有権者を買収」…「公金チューチュー」どころか「公金ガブガブ」です。さらに「河井夫妻の事件=公金を使って子分への肩入れ」等々。

 

どれ一つとっても内閣が潰れてもいい案件だと思いますが、最高法規ではなく、最高権力者に靡き忖度する司法の下、日本国は既に法治国家ではなくなっているので、安倍晋三政権は続きました。

 

また、これらの悪事・違法行為を隠ぺいするために安倍晋三は約二百回、国会で嘘を吐きました。彼ら夫婦が「教育勅語」道徳が大好きなのは「嘘を吐くなかれ!」という万国普遍である道徳の根本原則が無く、ひたすら「上が言うがままに従え・戦争しろ」が根本原則だからでしょう。

 

 さらにアベノマスク等の愚策もありますが、許せないのは愚かな思い付きで「全国一斉休校」をさせたことです。2020年3月2日から、安倍晋三内閣総理大臣の思いつきの指示によって、保育園・幼稚園から大学まで、ほぼ日本全国で一か月も休校ということになりました。まだ、それほどコロナ患者は出ていなかったのです。あの頃の数字で休校しなければならないのなら、ほぼ3年間、全国の学校は一斉休校しなければならなったでしょう。

 

 安倍は小学校から大学まで私立のエスカレーターで受験をしたことがなく、就職もコネ入社です。血統書がものを言い、受験でも就職でも苦労したことは無いわけです。政治家…政治屋と言いたいですが…になっても血統書の威力が、彼の無知・無能・無教養を覆い隠してくれました。血統書などない庶民は、学力をつけること、受験すること、就職試験を受けること等のためにどれだけ苦労することか…

 

 島根県・岩手県など、良識ある知事の判断で一斉休校をしていない所もほんの少々はありましたが、この「全国一斉休校」という超愚策は、安倍晋三にとっては「次世代の学力などどうでもいい」ということです。また、保育園を休ませなければならなくなった勤労市民がどれだけの苦労をするかなど、想像もできなかった、ということです。

 

 「全国一斉休校」という、子どもたちの「教育を受ける権利」の侵害という大悪事については、なぜか安倍の大罪を言う人でも現在はあまり出されませんが、子どもたちは「補償しろ」などとモンクを言わないからでしょうか…。

 

 まだまだ安倍晋三が内閣総理大臣として成した悪事は挙げればきりがないのですが、これほどまでに「日本国に害をなした内閣総理大臣、日本国損害を与え、国家尊厳貶めた内閣総理大臣」は、岸信介を除けば大日本帝国敗戦後、いなかったのではないでしょうか。もしかしたら岸田首相が超えるかもしれませんが…。

 

 こんな人物が「国家に最高の貢献をした人物に対する追悼儀式」としての「国葬」に値しますか? 彼は「日本国」という国家の「国の形」である「戦争放棄という平和主義」の破壊活動に奔走し、違憲・違法活動を積み重ねて「日本国という国家の破壊に貢献した人物」であり、まさに「国賊」という名称を与えるのがふさわしい人物です。

 

安倍晋三は絶対に「国葬」などに値する人物ではありません!

 

2,安倍晋三の国葬に法的根拠はなく、この強行は行政法律主義に反すること。

 現在、「国葬」の法的根拠はありません。岸田首相は「内閣府設置法4333号に、内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されている」ことを根拠としていますが、憲法学者小林節氏は、それは「皇室典範(法律)25条で決まっている国葬などの儀式を内閣が執行する規定であって、内閣が元首相の国葬という新しい儀式類型を創出して良いという規定ではありません。だから、今回の閣議決定は明らかに違憲です」(AERA 2022年07月27日号)と断定しています。

 

 日本国憲法の破壊活動を続け、戦争放棄・平和主義を破壊し「日本国に害をもたらした人物」を、事実とは真反対に「国家に最高の貢献=益をなした人物」などと偽り、高額の税金…私が支払った税金も含まれています…を費やしての「国葬」強行は、思うだけでも今もって私に大きな精神的苦痛をもたらしています。

 

 今まで、日本国憲法と法律を判決の判断基準としない裁判官の方々は「政府が税金を使って安倍元首相を国葬したからって、別にあなたが不利益処分を食らったわけではないでしょう?」として訴えを却下して平然としています。

 

しかし、「国葬」とは「国家葬」であり「この国葬される人物は、国家に最高の貢献を行い、益をもたらした人物であるから、国家成員全員が最高の敬意の精神を持って追悼しなければならない」と日本国家の成員全員に精神的強制をするもので、それぞれの成員が独立した人格として持つ「精神の自由」に対する「強制処分」以外の何でもありません。

 

常識的判断力さえあれば、安倍晋三ほど「国賊」という名称がふさわしく、「国葬」には全く値しない、という判断は容易なはずです。

 

国民主権の現在の日本国憲法下で,閣議決定によって法律には無い元首相の「国葬」という儀式を日本国行政府が執行したことを日本国司法府が合法とするなら、もし、岸田首相が一議員となって死亡した場合も、後継政権が閣議で「国葬にする」と決定しても合法となるでしょう。それでいいでしょうか?

 

日本国の最高法規である日本国憲法の平和主義、民主主義国家の大原則である行政法律主義を安倍晋三という内閣総理大臣が破壊し続け、岸田政権はそれを踏襲し続け、日本国は今「法治国家」とか「法の支配」の下にある、などとは言えないほどに落ちぶれてしまっています。その原因の一つは彼らをチェックするどころか忖度し、追認し続けた司法機関であり、大きな責任があると私は思います。

 

裁判官の皆様、

日本国憲法第99条の憲法尊重擁護義務を果たしていますか? 第76条三項「良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束され」ていますか?

 

この裁判は裁判官の方々の良心を問うものでもあることを、どうか忘れないでください!

以上


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