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2023年10月26日木曜日

「テロ殲滅」は、世界を破滅に…

 去る1022日、札幌のアメリカ総領事館前で、テロ国家・人種差別国家イスラエルを長年にわたって支援してきた米国を非難するデモ集会が行われました。これに合わせて松元保昭氏が発表された声明文を受け取りました。前回に続き、極めて簡潔に鋭く問題点を指摘する声明文です。拡散していただき、できるだけ多くの人たちに共有していただきたいイスラエル・米国に対する非難文です。

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「テロ殲滅」は、世界を破滅に
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22デモメッセージ 

パレスチナ連帯・札幌 松元保昭

ガザ 220 万人のうち半数は未成年の子どもで、全人口の三分の二が女性と子供たちだ。16年間も「天井のない監獄」として封鎖され、若者の失業率は70%、飲料水の8割は本来不適格で病人が増大し、赤ん坊・子供は慢性的な栄養失調状態にある。

今回、イスラエルがガザ北部からの退避勧告を出した直後から無差別空爆、しかも食料、燃料、水、医薬品などライフラインを完全封鎖しておいて無差別空爆とは、シーファー病院が空爆されたが、WHOによるとすでにガザでは26もの医療施設が空爆されている。まさに、大量殺戮・集団抹殺のジェノサイドそのものが始まっている。バイデンは、ただちにイスラエル支持を打ち出したが、「民主主義」と「人道的介入」を誇っていた自らのダブルスタンダードをコントロールできなくなっている。

そもそも、パレスチナ問題の発端は何であったのか?第二次大戦後、国連誕生後2年目、1947年の国連分割決議で、特別委員会は不正・不公正で憲章違反、アラブの国々は猛反対、だが米英ソがごり押した。ここから国際社会の二重基準・ダブルスタンダード、ボタンの掛け違いが生まれる。

これだけでは済まない。この分割決議に後押しされた、「ユダヤ国家」をつくろうというシオニスト集団の武装テロ活動が直後から激しくなる。かつてのパレスチナ領内で暗殺、村落襲撃の虐殺、強姦、追放で、約80万人の難民がガザや西岸、レバノンやヨルダンに逃げ込む。これをパレスチナ人は、ナクバ(破局・大災厄)と記憶する。その渦中の514日夜、あわててイスラエルは建国宣言をし、翌1948515日を建国記念日にする。この日こそパレスチナ人は、ナクバの日と呼んでいる。家の鍵を持ったまま逃げたパレスチナ人は、いまだに帰還できないままだ。

その後の75 年間、イスラエルの軍事占領、家屋破壊、土地略奪、入植地拡大、700キロの分離壁、アパルトヘイト政策、ほしいままの虐殺が今日まで続く。それをアメリカはじめ西側諸国の「国際社会」とメディアが、長年にわたり容認・支持してきたことこそが根本原因なのだ。

ただちに国際法と国際人道法に基づき、イスラエルのガザ完全封鎖中止、西岸地区のイスラエル入植地の撤退、軍事占領終結とパレスチナ人の民族自決を実現すべく、国連や国際社会が中東政策を抜本的に転換しなければこの問題はなくならない!

「ハマスはテロ組織、壊滅しなければならない」とイスラエルは叫ぶ。メディアは「報復の連鎖」などという無責任な常套句で傍観を拡大。2006年、パレスチナ民族評議会の選挙でハマスが勝利するも、不当不公正なオスロ合意に反対するハマスをただちに「テロ組織」と指定したのは、まっさきにアメリカとイスラエルだった。なぜ指定する権限があるのか、「対テロ戦争」の時代だから。国家のないパレスチナ人はイスラエルをテロ国家と指定できない。しかしいまや国際法・国際人道法が、占領された民族の抵抗権・民族自決権を正当に認めているのに

さて、テロとはどこから始まるのか?ナクバを実行したシオニストは最初からテロ集団だった。だからイスラエルは、生まれつきのテロ国家。1982年レバノンのサブラ・シャティーラ虐殺の後パレスチナでは、民衆蜂起の第一次インティファーダが燃え上がりその勢いで87年、全パレスチナの解放を掲げて「ハマース」が誕生する。ところが、2006年のアメリカ・イスラエルによるテロ組織指定によって、国際的には「イスラム原理主義テロ組織ハマス」と呼ばれるようになるわけだ。

「テロ指定」は、不満や抵抗を圧殺し先制攻撃を正当化する心理と論理を内包し、世界を破滅に導く。アメリカ銃社会の心理と論理を拡大したものが「対テロ戦争・反テロ戦争」だ。民主主義と人道を売り物にしてきたアメリカと、テロ殲滅の正当化なしに生きられないイスラエル。「敵基地攻撃」の論理も同断。

ところが、今回のハマスの奇襲攻撃は12のイスラエル軍の拠点を一時占拠した「軍事的抵抗」であった。その証拠に2か所のキブツ襲撃は非常に人道的なもので、逆にイスラエル治安部隊がキブツの一般市民をも無差別銃撃の対象にして犠牲者を出したとの証言がある(救出されたイスラエル人女性ヤスミン・ポラットの証言、15日)。しかしその後、キブツでの一般市民の犠牲者はすべて極悪非道のハマスの所為にされ、イスラエルの報道は証拠もなしにプロパガンダを広めている。

シオニストこそがテロの本家だったのが、パレスチナ人の抵抗運動がテロリストと指定されるのは、狡猾なイスラエルの名指しだ。1972年のテルアビブ空港襲撃事件、その4か月後ミュンヘン・オリンピック村襲撃事件で、一挙にパレスチナ人の抵抗闘争が「テロ」のレッテルを貼られる。逆手を取ったのはイスラエル。なぜか、両方とも空港での一般市民への銃乱射は、片やイスラエル治安機関、片やイスラエル諜報機関と西ドイツ警察。双方ともパレスチナ抵抗グループが銃を乱射したわけではないのに、イスラエルによって即座に「パレスチナ・武装ゲリラの仕業」と世界に喧伝された。

こうして、「敵」をテロリストと貶めることは、占領国家イスラエルの当初からの軍事戦略であり情報戦略の中心に位置する。パレスチナの民族自決の抵抗運動は徹底してテロリスト扱いされ、悪魔化されてきた。西岸でもガザでも、子どもが石を投げてもテロリストとして射殺され、イスラエル兵は不問にされるのがパレスチナの日常だ。これは75年前のナクバの継続であり、抵抗運動の「ハマス殲滅作戦」をめざすイスラエルは、さらに日常的・恒常的なホロコーストを実践することになるのではないか。

アメリカ総領事前(札幌):80人ほどが駅前から大通り公園にデモ行進し、
    その後約半数が地下鉄で領事館に駆けつけた。パレスチナ人ファミリーもインドネシア・ムスリム・ファミリーも参加

 

<アメリカ総領事館(札幌)前>

アイヌモシリがヤマトに奪われ先住民族アイヌが「旧土人」とジェノサイドにさらされ、ヨーロッパでシオニズムが誕生した頃、アメリカはメイン号事件をきっかけにスペインと戦争し大西洋の覇権を握った。戦後、トンキン湾事件でベトナム戦争を開始、911後イラクに大量破壊兵器の難癖をつけてイラク戦を開始した。ムジャヒディーンを利用してアフガニスタンを攻撃し、イラク戦からはIS(イスラム国)を創って侵略の手段にした。これらのどれもが「先制攻撃正当化」の欺瞞的策略だった。

そして、ナクバでジェノサイドをやってきたテロ国家・人種差別国家イスラエルを誕生させ、「平和愛好国家」という嘘で国連に加盟させ、何十回もの拒否権で擁護・援助してきたアメリカ。裏庭のラテンアメリカでも収奪と介入の政権転覆(レジーム・チェンジ)を繰り返してきた。軍事同盟をつくっては、国際法の網を破ってきたアメリカ・イスラエルこそ、「ならずもの国家」の張本人ではないのか!

ブッシュは、「テロリストの側につくか、われわれの側につくか」と世界を恫喝した。敵か味方か、善か悪かの二元論を世界に押し付け、「反テロ戦争」のグローバル・スタンダードをつくりあげて世界を分断し、ヘイトとレイシズムを増大させてきた。「テロ悪魔化」の世界基準は、人種差別のアパルトヘイト国家イスラエルを存続させる一方で、「自衛のための先制攻撃」を正当化させた。しかし「テロ殲滅」をしなければ生きられないイスラエルを支援し続けるアメリカは、世界を破滅に導くことになりはしないか?

世界を敵か味方か二分するこの心理と論理は、先住民族インディアンを駆逐・排除し今日も黒人差別を解決できない、銃社会アメリカの心理と論理から生まれたものだ。「反テロ戦争」の世界はかつてのハリウッド・カウボーイ映画と酷似する。カウボーイ帝国アメリカよ、まず自国の植民地主義を反省し、銃社会を根絶してから世界に物申せ!

メディアは、アメリカ・イスラエルがどんな国か、いかに国際法・国際人道法を打ち破る狡猾な「極悪非道」を実践してきたかを、決して報道しようとはしない。もはや巨大メディアを共犯者とする欧米中心主義の野合同盟では、人類の公正と正義、人権と尊厳を実現できないことは明白だ。米国一極覇権の大転換が必要なのだ!フリー・フリー・パレスタイン!


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