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2018年10月12日金曜日

笑話「庶民は下品!」


朝日新聞「絢子さまの結婚一時金は1億675万円 現行法の上限額」

  この記事によると「一時金は皇室経済法で定められ、品位を保つため、皇室を離れる際に国から支給される」そうです。このニュースをめぐって熊サンと八ッツアンが交わした会話が次のようなものです。

熊「ね、ね、聞いたか?今度結婚する皇室の絢子ちゃんがもらう『手切れ金』が1億675万円だとよ。天チャンお爺ちゃんが親族の娘にやる『手切れ金』が1億円以上、豪気だね。とはいえ、もとはと言えばワシらが払ってる税金なんだけどさ。それにしても羨ましいね。ただ、675万円というハシタの数字がどこからはじき出されるのか、オレには分からんのだけど。」

八「あのね、あれは『手切れ金』などという下品なものではないんだよ。ヤクザじゃないんだからね。皇室の方々がもっておられる品位、その品位を保つための必要資金なんだよ。」

熊「あ〜、品位ね。そういや、もうだいぶ昔のことだけど、オレが結婚したときにカアチャンが持って来た嫁入り道具の掃除機、冷蔵庫、テレビなどはみんな古道具で、全く品位がなかったね。けど、文句は言えないけどね。というのは、オレのオヤジが貧乏でしかもケチンボだったから、向こうのオヤジに持っていった結納金がめちゃ少なかったということを、結婚した後でカアチャンから聞いたからね。」

八「この場合の品位というのは道具の品位なんかじゃない。皇室の方々は、我々庶民とは違って、生まれつき高貴な品位を持っておられる。その血統とも言える品位のことなんだよ。オレたちは、そんな高貴な品位というものは持ち合わせちゃいないわな。」

熊「おい、ちょっとまってくれよ。それは差別で、おかしいんじゃないか。だって天皇はオレたち国民の『象徴』だろう。その象徴が高貴で品位があるけど、天皇に象徴されてるオレたちには品位がないというんじゃ、おかしいんじゃ。オレたちも品位を保つために一時金をもらってるてんなら分かるけどさ。税金は取られっぱなしだぜ。」

八「おまえはバカだね。オレたち庶民だけじゃないよ。政治家、とりわけ首相や財務大臣、そのほかの大臣の顔を見てみろよ。品位のある顔をしている奴が一人としているか。いないだろう。だから、品位のある高貴な天皇陛下に国の顔、国の象徴になっていただき、品位のない政治家や庶民にあたかも品位があるかのごとく見せる重要な役割を担っていただく。そのことによって国民みんなが民主主義的で幸せでいられるわけだ。これが『民主主義的な天皇制』といわれるユエンなんだよ。」

熊「ん〜、なんだか難しい話になってきたな。うちの隣に口やかましいご隠居さんが住んでるの知ってるだろう。あのご隠居さんはね、『天皇が民主主義という表現がそもそも矛盾で、なぜなら、男しか天皇になれないような男女差別、それに叙勲で勲一等から八等まで国民に差をつけて、しかもその勲章を天皇が授与するなんてのは、何が民主主義か』っていつも怒ってるぜ。それに昨日は、『人間の品位というのは金で作ったり保ったりできるもんではない。人間が自分を切磋琢磨することで、自ずから身についてくるもんだ』なんて、坊主が説教するような難しいことを言ってたぜ。」

八「あ〜、あのご隠居は60年代安保闘争の全学連くずれのアナキスト。あんなアナキストの言うことは信じるな!バカ」

熊「は?穴キス〜ト?あの爺さん、連れ合いの婆さんの鼻のにでもキスするかよ?汚ねえな。知らなかった、あの爺さん変態だとは。」

八「おまえは本当に、救いようのないバカだね」

熊「オレをバカ、バカと言うがね、じゃあ、自称インテリのおまえさんに訊くが、皇室の連中が生まれつきそんな高貴な品位をもってるんなら、わざわざ金使ってそれを保つ必要なんてないじゃん。すでに持ってるもんに、なんで大金使わなきゃいけねえんだ。」

八「地獄の沙汰も金と言うだろう。金はなんにせよ必要なんだよ。」

熊「なにを、このやろう。いくらバカでも、今のは全く説明になってねいことはオレにだって分かるぜ。地獄と品位とどういう関係があるんだよ。地獄に堕ちたら閻魔大王から逃げ回るので必死で、品位なんて言ってられないぜ。それじゃもう一回訊くが、品位を保つために、そんな金はいったいどんなことに使うんだ?」

八「(このやろう、バカだけど質問だけはシツコクしてくるな)それは……まあ……いろいろな・・・・。(なんか考えなきゃな)例えば……例えばだな、高貴な品位のあるお顔につける高級化粧品、品位のあるオツムにのせる高級デザインのお帽子とか、我々庶民には分からないものがいろいろあら〜な。」

熊「それにしても、少しでもいいからオレたちも品位とやらを身につけてみたいね。」

八「オレもおまえもヒンイはちゃ〜んと身につけているぜ。それも産まれた時から。」

熊「え!ほんとかよ、どんな品位?」

八「ヒンイはヒンイでも『ヒン』の字が少々違ってるんだがな……

熊「字が違ってる?どんな字?」

八「我々のヒンイのヒンは『貧困』の『貧』で、『貧位』と書く。」

熊「ああ〜、なんとも情けないけど、当たってるわな。それでは、『庶民のヒンイ万歳』というわけで、屋台の飲み屋の安酒で一杯飲もう!ちくしょう、1億675万円か。宝くじで5億円当てたら、カバンに札束詰め込んで、皇居の一般参賀に行ってあいつらに見せびらかしてやる!それとも、奥崎謙三をまねて、パチンコ玉のかわりに一万円札を丸めて天皇に向けて3発ほど飛ばしてやろうか。『ヤマザキ、品位を高めるために天皇に3万円めぐんでやれ』と叫びながら!」

- 完 -